ソード・ワールド2.0短編集「女神の国の逃亡者」読了しました。
待望のソード・ワールド2.0短編集だったのですが、とても面白かったです。
収録されている作品は4編。テーマは“旅立ち”
収録されている作品は、“旅立ち”テーマで、ラクシアの様々な冒険者の活躍を描かれています。
以下ネタバレにならないと思われる範囲で感想を。
「我が心は山に消え」
清松みゆき先生の作品です。
ルーンフォークの蘇生にともなう記憶喪失を描いたミステリーぽい印象も受ける作品です。
個人的には一番面白かったです。ラクシアの死生観もわかるいい作品でした。
主人公の名前が自キャラと同じいうのも高ポイントでした。
名前が同じというだけなのですが、何となく嬉しかったです。
「遠いささやき」
篠谷志乃先生の作品です。
フェアリーテイマーを扱った話で、宝石の扱いや、妖精召還の描写などいまいち演出しにくかったフェアリーテイマーの補強にとても参考になる作品です。
フェアリーテイマーなら間違いなく使う【フェアリーウィッシュ】の描写が描かれていたので、実際のセッションでも真似してみたいと思いました。
魔剣の扱い方なども含めて、実際のTRPGのセッションぽさを一番感じる作品でした。
「地を往く者たち」
龍口妙眞先生の作品です。
グラップラーとエルフにまつわる話。種族の寿命の差やそこから生まれる時間に関する考え方やモチベーションの差などの描写は、ファンタジー小説ならではで面白かったです。
文体も躍動感あって読みやすかったです。味方も敵もセリフがかっこいい。
挿絵が私の大好きな今野 隼史先生でした。七人の武器屋や、TRPG関連だと「デモンパラサイト・リプレイ 剣神」のイラストでおなじみですね。
「女神の国の逃亡者」
秋田みやび先生の作品です。
タビットの少年と人間の少女のかけあいも楽しく、ジュブナイル小説ぽく読めました。
こちらも種族の違いによる描写がファンタジー小説ならではで面白かったです。かけあいの楽しさが伝わる作品でした。
世界観補強にはやはり短編集!
ソード・ワールド2.0の小説としては「剣をつぐもの」シリーズがあるのですが、あちらは大きな話題を扱われているせいか、実際のセッションの活かせる情報少ないのが残念だったのですが、やはり世界観の補強には短編集は強いですね。
ラクシアの死生観や、いまいち演出しにくかったフェアリーテイマーの補強にとても役に立ちました。
昔の短編集にあったような、登場キャラのデータが掲載されていないのが少し残念でした。
ゲームとして実現できるのかというのは、TRPG原作物の小説を見るときの楽しみのひとつなのですが…
まぁそういうマイナス部分はありますが、初のソード・ワールド2.0短編集は、大満足の1冊でした。
2010年12月27日追記:SNEさんのサイトでデータ公開されました。ありがとうございます!
設定や世界観をきちんとおぼえるほんの少しの努力は、楽しくTRPGを遊ぶために必要なものだと個人的には思うのですが、こういう意味でこういった短編集の存在は本当にありがたいです。
人気が出て続編もどんどん出て欲しいです。
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